50代、やっとこ派遣デビュー

30年以上勤務した仕事を3月に退職した。

「しばらくゆっくりする」と宣言し、晴れた日には大好きな洗濯をたくさんして、図書館に通って、時には散歩も楽しみ、花を育てた。

ランチの約束も医者に行くのも仕事の予定を気にせずいつでもOK!

時間にとらわれない日々を過ごし、心の緊張が解けていくのを感じた。

 

正直のところ専業主婦でいたいけど、残念ながら夫は億万長者ではないので、1年後の4月からは仕事を再開する約束。

 

数ヶ月が過ぎた頃、このまま1年間まったり過ごし続けるともう仕事人には戻れない不安と、自分でお金を稼ぐ充足感を得たいとの理由から、少しだけ働きたいと考えるようになった。

 

ネットで初めてのパート探し・・・「ミドルシニア応援」「未経験者歓迎」等が謳われ簡単に就職できそうに見えるのに、週に2日で半日程度(できれば午前中)という日数と時間を希望しては、既に条件が合わない。

時間に融通の利く私たちの世代こそ、休日や夕方から夜に働くことが可能であり、その隙間を埋めることを求められているのだと現実を知る。

 

そこで、短期または単発の仕事をしようと思い立った。

飲食や販売であれば店舗等で募集があるが、それ以外の職種では派遣登録して探さないと難しいと分かり驚いた。

 

派遣会社は多数あるが、スペック低い割には我儘な条件を希望する50代の私には、どこでも活動できる訳ではない。

どの会社が合うのか?それぞれの会社の強みを調べることから始めた。

業務形態に請負業務もあること、案件が多いこと、特に最初の仕事は、今までの経験を生かせる事務または受付が選べることの理由から、「ランスタッド」という派遣会社に決定した。

www.randstad.co.jp

 

ここまでで結構ヘトヘト・・ネットで登録や仕事の検索及び応募ができるのは便利だが、問い合わせは電話でしたいこともある。

登録の際に数社に連絡したが、不在着信後かけ直していただけたのは現在の会社のみであり、その対応のよさが決め手の1つとなった。

 

もちろん、応募する全ての仕事や日程に採用される訳ではないし、希望する事務仕事ばかりではない。

単発だからこそ未経験の分野にもチャレンジしやすいと思い、軽作業にも従事してみた。

半日立っているだけで脚がパンパン状態・・体調と相談しながら勤務日を選べることで、体力に自信のない私が敬遠しがちな仕事でも従事可能になる。

初めての工場にドキドキしながら現場に行ったが、仕事は社員さんが丁寧に指導してくださるし、細々とした分からないことは、周囲のベテラン派遣さんが何でも教えてくれてありがたかった。

「無理と思ったら1回で辞められるし」と思っていたが、キレイな休憩室でコンビニのおにぎりを食べながら、「次はいつ来ようかな?お腹空くから今度はお弁当作ってこよう」と思う自分にくすりとしてしまった。

 

面倒な人間関係がないのがメリットとよく聞くが、「初めてなので緊張してます」と私にしては積極的に話しかけたら、不安なく仕事ができたし、「また同じ日に仕事できるといいね」と言っていただき心が温まった。

 

勤務を終えて外に出たら、駐車場の路面が濡れている。

いつの間にか雨が降ったみたいだ。

窓のない室内で一斉作業をすることは、長時間机に齧り付いて事務を執り、時に窓から外の景色を眺めた30数年と全く違う。

朝とは違う景色に、新しい日々が始まったんだと思った。

 

身体は疲れていたけど、「今日の夕飯は何にしよう?」とご飯のことばかり考えている元気な私が嬉しくて、ニヤニヤしながら家へと車を走らせた。